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高校入試のための勉強法~偏差値ごとの戦い方の違いに要注意!!~

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これまで,さまざまな高校受験生の勉強のお手伝いをしてきて感じたことがあります。それは,受験生が皆同じ戦い方をしてはいけない,ということです。偏差値70の学校を目指す受験生が偏差値60の学校を目指す受験生では,戦い方は異なるべきであって,そうでなければ非効率です。

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公立高校入試特有の性質

 公立高校の入試は私立高校の入試と違い,一定のレベル以上の子供を振り落とすための試験ではありません。さまざまなレベルの高校の共通問題であるため,あらゆる難易度の問題がちりばめられています。高いレベルの高校の合否を決めるために難易度の高い問題もありますが,大半は基礎的な内容を問う問題で,さらに易しい問題も含まれています。最上位の高校を志望する場合は,合否を分ける難しい問題を正解しなければ合格できませんが,それ以外は,自分のレベルに適した問題を確実に正解できれば合格できるわけです。

正答率の分布例

各都道府県の教育委員会は,高校入試の正答率の分布を公表しています。

ある首都圏の公立高校入試の数学の正答率を取り上げてみたいと思います。

この年の数学の平均点は47点でした。例年並みです。

 

正答率0ー10%:5 問(25点)

正答率10ー30%:2問(9点)

正答率30ー60%:4問(19点)

正答率60%ー100%:11問(47点)

 

この正答率から分かることは,問題の半分は正答率60%以上の非常に基本的な問題でしめられており,これを全問正解すれば,平均点は取れる,ということです。

 

次いで割合が高いのは,正答率0ー10%の問題で,25点分となっています。また,正答率10ー30%の問題はたった9点となっており,公立高校のテストは大別して,

①上位校の受験生を選別するための問題 と 

②基本問題

の二種類だということが分かります。

 得点の分布 

この試験の得点分布も公表されています。

90-100点:ほぼ0%

80ー90点:2%

70ー80点:7%

60ー70点:20%

50ー60点:23%

40ー50点:19%

最上位校(偏差値70前後)を志望する場合の勉強法

正答率と得点分布から分かることは,(いえ,見なくても分かるのですが),最高位校を目指す受験生は,基礎問題だけ解けるだけでは不十分です。偏差値70というと全体の2.2%ほどの当たりますから,数学が得意科目ならば80点以上を獲得しなければなりません。正答率10%以上の問題をすべて正解したとしても75点ですので,正答率10%未満の,「上位校の合否を分ける問題」にも正解する必要があります。当日は緊張でミスも多くなりがちですので,上位校の合否を分ける問題を少なくとも数問解けなければなりません。学校のワークを解けるだけでは足りませんから,難問に取り組む必要があります。また,積極的に47都道府県公立高校入試問題の過去問(通称「電話帳」)を解きましょう。

上位校(偏差値65程度)を志望する場合の勉強法

得点分布を見ると,この数学の入試問題で70点以上を得点したのは上位9%にすぎません。上位9%と言えば偏差値63以上の高校の合格者です。つまり,偏差値63程度の高校に合格するには,ごく基礎的な問題(正答率60%以上)+やや発展的な問題(正答率10ー60%)=75点を正解する必要がありますが,上位校の合否を分ける問題(正答率0ー10%)に正解する必要はありません

 

47都道府県過去問を解いての演習は効果的ですが,「難問」の印のついた問題については不正解でも解き直さなくてよいでしょう。解き直し不要に時間をかけて,ミスをなくしたり,基礎的な問題の穴をつぶすための時間を奪ってはならないためです。ただし,問題に「難問」とついていても,一応は解き始め,どういった問題が「難問」かを見分ける訓練をしておきましょう。難問かどうかは入試問題には書かれていませんから,自分で見極めなければならないからです。それができると,難しい問題に余計な時間をかけて,時間切れで見直しができない,あるいは焦ってミスを多発する,ということを防ぐことができます。

偏差値60未満の学校を志望する場合の勉強法 

偏差値60未満の高校を志望する場合や,偏差値60以上の高校を志望する場合でも数学が苦手で他に得点を稼げる教科がある場合には,上位校の合否を分ける問題(正答率0ー10%)に正解する必要はありませんし,やや発展的な問題さえも完答する必要はありません。

 

二つのデータから分かることは,正答率30%以上の問題をすべて正解した場合,得点は66点となり,得点分布表から上位19%の辺りに位置することができる,ということです。上位30%というと偏差値は55ですから,偏差値55の受験生が,自分が取るべき問題をノーミスで解き切れば偏差値59をたたき出すことができる,ということが分かります。

 

ですから,偏差値60未満の高校を志望する場合や,偏差値60程度の高校を志望するが数学が苦手教科である場合,正答率10%ー30%のやや発展的な問題を解く力をのばすことに時間を割くよりも,正答率30%以上の問題をノーミスで解くための訓練を重ねた方が効率的に得点できるでしょう。最近の首都圏の公立高校の問題は思考問題が多く,正答率10%ー30%のやや発展的な問題を解けるようになるには,単なる解法の暗記や単純な繰り返しによる訓練だけでは不十分で,相当な時間がかかります。

 

受験は5教科の合計点で争われます。陸上の十種競技を思い浮かべてください。100m走が不得意だからといってそればかりに時間をかけるよりも,最も少ない努力で得点が伸びやすい別の競技 の訓練に時間をかける方がいいこともあるのです。数学と国語は短期間の努力が得点に結びつきにくい科目です。生まれ持ったものや,小さいころからの積み重ねが大きく関係しているように思います。自分の都道府県の公立高校入試の正答率や得点分布をよく研究して,何に時間をかけることが効果的なのか,よく研究することをお薦めします。 

高校合格に必要な力

偏差値70以上の高校を目指したタイとは違い,ナオの場合は入試でホームランを打つ必要はありません。三振をしない。一塁打をこつこつと重ねる。そのためには,難しい球とそうでない球を見極める選球眼が必要です。ナオの受ける入試の数学は,計算問題の小問でも,難易度の高い大問でも,配点は同じです。難易度の高い問題をすぐに見分けてそこに時間を割かず,正答率の高い問題を決して落とさない。減点法ではなく加点法で考える,ということが必要です。

 

塾は画一的な授業しかしませんから,その人に合った「手抜き」と「手間」のバランスを教えてはくれません。時間が無限になるならばそれでもいいでしょうが,これからは時間との勝負です。限られた時間の中で最大限の効果を生むには,絶妙な「手抜き」と「手間」をかける部分を見極める目が必要です

 

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